インタビュー

職業シリーズ第2回「還暦ホスト」ADEOS /鶴谷文隆

歌舞伎町ホスト界でひときわ際立つ異色のホスト「鶴谷文隆」。60歳にして現役ホストという彼の人生を振り返るとともに、30年間見続けてきたこの業界の移り変わりを聞いてみました。全てを知り尽くしたと言っても過言ではない彼が、若い世代に投げかけたい事とはー?

ホストを始めたのは3000万円必要だったから
僕が30歳にしてホストを始めようと思ったのは、自動車事故がキッカケでした。相手の怪我が思ったよりもひどく、慰謝料が3000万円だったんです。今のまま仕事をしていても、いつ払い終わるのか…。そんなとき、当時お世話になった方に「ホストはどうか?」と勧められたんです。元々夜遊びも好きで、アルコールも強い方だったし、なにより『同じ客商売だよな』と思ってすんなりと受け入れることができました

当時のホストクラブは年上の人妻ばかり
当時のホストクラブは、社交ダンスもあって年上のお客様が多かったですね。いわゆるマダムと呼ばれるような、大人の女性がほとんどでした。今のように若い女の子はいないに等しかったですね。一緒にダンスのお披露目パーティーへ行ったり、プライベートではゴルフへ行ったりと自分の時間はほとんどなかった事を覚えています。

今だからこそ思う、そもそもホストとは何か?
ホストを30年間していてそもそもホストとは?と考えたときに「おもてなし」という言葉が思い浮かびました。近年のホストというのは「自分が主役」という面をとても強く感じますが、果たしてそれで良いのか?もちろん、時代やお客様が求めているのであればそれに応えるに越したことはありません。しかし、やはりお客様が主役だと僕は考えます。そして、その主役にかけがえのない夢を売るのが、僕たちの仕事(おもてなし)ではないでしょうか?

ホストにとって必要なもの…それは「清潔感」
歳にしてホストをやらせてもらっていて、一番気を遣っているのは「清潔感」です。これは年齢関係なく、ホストにとって一番重要だと思っています。そして、心身ともに健康であること。最近身の回りで不幸な話が多いんです。不規則な生活でお酒の量も多く体や心に不調をきたしてしまったり…。この30年間で悟ったのはやはり「健康第一」ということかなと思っています(笑)。


鶴谷文隆 つるや ふみたか
60歳・青森県出身。19歳のときに東海銀行(現:三菱東京UFJ)に就職する。22歳で名古屋の本店営業部に転属し、30歳でまさかのホストへ脱サラ。30年間名古屋でホストを経験し、昨年の8月に歌舞伎町へ。Smappa!Group「ADEOS」でホスト人生の集大成を迎える。 Smappa!Group
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