企画

HOT WORD 〜ゲイボーイ〜

オーナーとなりオカマバー「まど☆まど」をオープン。自らは経営者向きではないと言っていたものの、15年間六本木の夜を彩ることに。しかしビルの老朽化に伴い慣れ親しんだ土地を離れる事を決意し、未知なる歌舞伎で挑戦

歌舞伎に来たのがちょうど1年前。正直最初は不安だらけで、龍が如くじゃないけど、恐ろしい街ってイメージしかなかったの。あっという間に一年が経っていま思うことは、歌舞伎は刺激が強くて華やか。でもその分闇も深いってこと。

六本木ではワイワイ飲むのがほとんどだったけど、ここでは悩み相談が本当に多い。担当が相手してくれない、冷たい、消えたい、死にたい…。大きな声で言うことじゃないけど、実は私も自殺未遂を何度か経験してるの。練炭自殺しようとしたらすきま風があったり、睡眠薬を大量に飲んでも死ねなくて胃洗浄で地獄の苦しみを味わったり。だからこそ死にたい子の気持ちはわかるわよ。

あの時私自身が「こうして欲しかった」ことを出来る限りやってるの。歌舞伎での経験は浅いけど、夜の世界ではベテランだし、本当に色々な経験をしてきたから、少しでも役立てることがあるはず。私は歌舞伎にそういった場所があっても良いと思っていて、この場所が心の拠り所になれれば最高じゃない?あと多いのはホストのお客さんで、売れないから辞める、向いてないという悩み。

私が必ず言うのは「とにかく一年頑張ってみなさい」って。歌舞伎は本当に独特で、これだけ人の欲望とかお金とかギラギラしたものが出る街って世界中見渡しても数えるほど。そこで一年死ぬ気でやったら、人としてとてつもない進化を遂げることが出来るのよ。現に私がそうで、ここに来て自分が進化してるのが実感できてるから。逆にここで一年出来たら、どの仕事でもきっと大丈夫だと思うの。これは決して大げさではなく、それほど歌舞伎という街が特殊ということなのよ。

栄光と深い闇が混同する歌舞伎で見出したもの