インタビュー

日本一に最も近い男 FUYUTSUKI-PARTY- 降矢まさき

FUYUTSUKI-PARTY- 降矢まさき

上半期のナンバーが各グループ・各店で発表され、現時点での立ち位置をそれぞれが認識しているこの時期。そんな中、年初から圧倒的なパフォーマンスを披露して、他の追撃を許さない売上を叩き出している男がいることをご存知か?
今回はいま歌舞伎のみならず日本全国の夜業界で話題沸騰中の「降矢まさき」代表にインタビューを敢行。いま何を感じ、今後はどうしていくのか?そして今だから語れる秘話など、大ボリュームでお届けします。

 

日本一も通過点 描いている未来はもっと先にある

FUYUTSUKI-PARTY- 降矢まさき

ホスト業界では上半期と下半期というものあり、その合計売上によって年間No.1が決まる。
それは大きなグループに限らず、単独店でもあっても同じで、この年間No.1という称号は、この業界に携わる者なら、どれだけの価値があるかはわかるだろう。
これがグループの枠を超え、さらには歌舞伎を飛び出し、日本一となれば次元が違ってくる。
一昨年、冬月グループの絶対王者である「渋谷奈槻」さんが、前人未到の3億3000万というとんでもない数字を叩き出し、名実共に「日本一のホスト」の称号を得たことは記憶に新しい。
当分、この数字を脅かす猛者は現れないと思っていたら、今とんでもない勢いで売上を叩き出している男が同グループにいたのだ。
その名は「降矢まさき」。先月の30日でちょうど上半期の締め日を迎え、現時点でのNo.1が発表されたばかり。
その額は一昨年の渋谷奈槻さんのペースを上回る1億8000万。
このペースで行けば、12/31を待たずしてレコード記録である3億3000万を超すことになるのは確実である。

3年連続で年間1億超えは達成していたものの、3ヶ月で1億に到達するとは思ってもいませんでしたし、そもそもそんなつもりでやってはいませんでした(笑)。
ただ、自分が行けるところまで行った結果が、上半期のこの記録なだけです。
周りから「3億3000万を超える」だとか「日本一」とか最近よく言われますが、現時点で日本一なだけでまだ実感はありませんし、3億3000万を目指しているわけではないので、そこまで響くことはないんですよね。
俺の個人的な目標は5億。でも今の状況などを考えると4億を超えるぐらいに落ち着くんだと思います。
だから、上半期でNo.1だと言われても、嬉しいですけどそこまでの感動はありません。
なぜならば、それは通過点だから。3億3000万を目標に設定してしまうと超えられないし、到達したとしてもカツカツの3億3000万だと思います。
そんな余裕のない到達なんて嫌じゃないですか。だからこそ、僕はさらに先を目標に定めていまして、予定では今年の終盤前には到達し、最終的には4億を超す予定です。

上半期の時点では間違いなく日本一であるまさきさんに一切の油断はない。
そう思わせる自信のあり方がインタビュー中でもヒシヒシと伝わってくる。
このペースで一つの目標である日本一という称号を得たら、果たしてそこがゴールなのだろうか?

日本一を獲ったとしても全然ゴールではありませんよ。
次は月間売上でも日本一を目指すつもりです。今年にそれができるか?う〜ん、今年は無理ですね。
というのは、今年の目標はV12を目指しているからなんです。
V12を達成して周りから「そりゃ日本一だよね」って言われたいんです(笑)。
ちなみに昨年の12月から落とすことなくVの数を重ねています。なので、今年の12月も取れたらV13になるんですかね。
で、思い出したんですけど、いまうちの店は俺VS従業員全員みたいな図式になっていて、毎月締め日のラストオーダーの前に順位が発表されるのですが、2位までは拍手喝采でめちゃくちゃ盛り上がるのに、1位の俺の名前が出ると一気に冷めた感じになって、拍手もまばら。
なんならクスクスと笑い声まで。全然盛り上げてくれないのってどう思います(笑)?

と、言いながらも、プレイヤーたちのモチベーションが上がっている様子を話しているまさきさんはなんだか嬉しそう。
と言うのは、実はまさきさんは強面な印象が強いが、根っからの兄貴肌。
家族(従業員)を人一倍大事にして、付いてくる従業員は見捨てることなく最後まで面倒を見るタイプなのだ。
現にFUYUTSUKI -PARTY-では、これまで数年間下火だったプレイヤーが飛躍的に実力をつけて、いまや月給3桁を超えるまでに。
何かしら問題を起こしてFUYUTSUKI -PARTY-に辿り着いたプレイヤーが役職をもらうまでにのし上がったりと、まさきさんが教育してきた人のほとんどは、間違いなく成長している。
そのことを本人に言うと「そんなんじゃないですよ。俺の好き勝手にやってるだけ」と照れ臭そうに笑う姿が印象的だ。

俺の性格なんでしょうね。
ダメって言われてきた人間を再生させるのって昔から好きなんですよ。
1度何もかもぶっ壊してから、ゼロから成長していくのは本人も楽しいけど、俺自身も楽しんでいます。
自分を教育して欲しい!って結構言われるようになってきたのですが、そこで俺が相手に出す条件はただ1つだけ。「俺の好き勝手にやらしてね」と(笑)。
とは言っても、軍隊みたいなお店ではないので誤解のないように。
サボったり、仲間に迷惑かけたり、お客様を不快にさせない最低限のことさえ守ってくれたら好きに楽しくやってくれたらいいと思っていますよ。
もし道から外れるようであれば、容赦無く怒りますけどね(笑)。

今や冬月グループの看板の1人であり、現状日本一の売上を叩き出しているまさきさんではあるものの、当然ながら最初からこんなに売れていたわけではない。
本人も7年前に今の姿を想像していただろうか?
話を聞いていると、7年前から現在までにはいくつかターニングポイントがあったという。
そのポイントでの選択が、現在の自分を作り出したと。

FUYUTSUKI-PARTY- 降矢まさき

全てを捨てて歌舞伎で0からスタート

俺のホストデビューは7年前。
今の子たちに比べると遅い方だと思いますよ。それまでは現場で働いていて、会社も経営し従業員も7名ほどいました。
24歳にしては周りの同世代に比べて給料も倍近く多かったんですけど、いつの頃かなんだかふと疲れてしまったんですよね。
会社って規模を大きくして従業員を増やし利益を上げていくのが流れじゃないですか。
で、10年後、従業員が同じ人数だったら給料もそのまま変わらないのかな?そもそも人が集まるのか?なんて考えていたら急に現場仕事に疑問を感じてしまったんです。
で、こんなに汗水垂らして働かずに生活できるのなんだろう?と考えた時に投資を思い浮かべました。
昔から思い立ったらすぐに行動する人間なので、片っぱしから本を読んだり人に教わったり投資の勉強をしたのですが、立ちはだかったのがお金なんです。
いくら知識があったところで、軍資金がなければ話にならないと何も出来ないことに気付いてしまったんですよね。
結局のところ、ウン千万、億単位がないと不労所得には程遠いんです。
それで、24歳で学歴もない自分にできることってなんだろう?と思った時にホストの道があると気づいたわけです。
周りからは「何をバカなことを言っているの?」「収入も会社もあるのにどうして?」と言われましたが、自分の中で労働の対価として手に入る金額には届いてなかったから「苦労しているから」と答えてました。
この決断が1つ目のターニングポイントです。

なんと24歳まで現場仕事で会社を経営し従業員を数人雇っていたという。
しかも給料も3桁に若干届かないぐらいだったというから、側から見れば成功者の1人にしか見えないが、まさきさんの理想はもっと先にあったようだ。
しかしながらその生活を捨てて、成功するか未知数であるホストになろうとする決断は、当時のまさきさんを知っている人からすれば無謀そのものにしか見えなかっただろう。
しかし、当の本人はそんな周りの反応に揺がずホストとして歩み始めたのだった。

FUYUTSUKI-PARTY- 降矢まさき

まずは体入をしてみようと朝イチで茨城から歌舞伎に来ました。
ずっと現場仕事だったので、朝起きるのは全然苦じゃありませんでしたね。
それで、軽く調べたところ、2部では冬月が強いことがわかっていたので、まずはそこに行ってみようと思いました。
しかも、このビルの周辺には2部営業の店が結構密集していたので、いくつか回って決めようと思ってたんです。
それで、いざ店に行ってみると、そこに奈槻さんがいて、直感でこの人だったら付いていけるなって思ったんです。
それに、他店を回るのも面倒臭くなって(笑)、その日に本入したいって伝えたんです。
そしたら「ウチは3日間体入に来てもらってから本入※注:現在はなし」と断られました(笑)。
えっ3日間歌舞伎にいなくちゃいけないの?でも、店の雰囲気も奈槻さんもいたしな、と思い、とりあえずマン喫に泊まって3日間体入を終えて晴れて本入させてもらいました。
初めの1ヶ月はバイトにしてもらって、引越しや仕事の引継ぎなどを片付けてこちらに越してきてレギュラーになり、本格的にホストとしてスタートしたんです。
とは言っても、半年間は鳴かず飛ばずで、半年〜1年ぐらいでやっと売上から給料が出るぐらいに。
けど、ナンバーも最高で3位止まりでしたね。それで、次のターニングポイントになってくるんです。

多少の下調べはしていたものの、ほぼ何も知らない状態で扉を叩いたのが、現在のFUYUTSUKI -PARTY-。
その日、その時に出会ったのが、あの渋谷奈槻社長だというから運命を感じずにはいられない。
3年連続で1億を突破しているまさきさんだけに、売上を出せていない姿は想像がつかないけど、彼にもそんな時代があったとちょっと安心したり(笑)。
とは言え、当時のお店にはその頃から存在感抜群な渋谷奈槻社長が君臨し、頂点は思った以上に高かったとか。
そして、まさきさんは次なる分岐点に差し掛かったのだ。

FUYUTSUKI-PARTY- 降矢まさき

大きなグループに移籍することにしました。
別にFUYUTSUKI -PARTY-が嫌になったとかではなく環境を変えて新しく勝負したかったんですよね。
ってカッコイイ感じで言ってますが、シンプルに俺がワガママだけだったんですけど(笑)。
それでも奈槻さんもお店も快く送り出してくれました。
それまでは正直言って、ラッキーやらやんちゃして売上を上げていたのですが、移籍後はちゃんとホストをやることにしたんです。
みんなが想像できるようなホストっぽい営業をして、その店ではホスト人生初のNo.1を獲ることも出来ました。
しかし、ちょっとやらかしてしまい店から出勤停止を言い渡されてしまったんです。
多くは語りませんが、まぁ人に迷惑をかけてしまったので甘んじて1ヶ月間謹慎していました。
ようやく規定の1ヶ月を迎え、復帰する直前「もう1ヶ月謹慎しなさい」と言われたのです。
俺的にはもう1ヶ月謹慎したところで「申し訳ない」と思うこと以上にできる事がないし、迷惑をかけた分、売上を伸ばしたり、真面目に仕事をするしかないと思っていただけに、なんだかここでホストをやる意味を見出せなくなってしまい「辞めます」と告げたんです。
しかし、上からの回答はNOで、新店を立ち上げるからそっちを手伝いなさいと言われたのです。
迷惑をかけてしまっている手前、断ることも出来ずとりあえず新店の立ち上げを手伝うことにしました。
これまでは出来上がっている店舗に入って仕事をしていただけに、0から作る店はとてつもなくストレスを感じました。
仕事が一気につまらなくなり、売上は激減。上とも合わないし、もうモチベーションはそこにはなかったんです。
なので、結局辞める決断をして告げると「1ヶ月はいろ」と。
当時も今もそうなんですけど「辞める」と言っている人間を留めておく理由がわかりません。
なぜならば周りに伝染するから。店側にとって何のメリットもないじゃないですか。
だから、俺は辞めると言った人は引き留めもしませんよ。その子の1ヶ月も無駄になりますからね。
話を戻すと、結局1ヶ月間そこにいる事になるのですが、辞める決意は変わりませんでした。
もはやホストから足を洗おうと思っていた時にFUYUTSUKI -PARTY-から「戻っておいで」と声をかけてもらったんです。

移籍した先で経験した初No.1という栄光と謹慎という挫折。
ホスト引退を考えるまでに至った時に手を差し伸べたのが現在代表を務めるFUYUTSUKI -PARTY-だった。
その時に言われたのが「好きにしていい、何も押し付けるつもりはない」という温かい言葉だったとか。
元来、自由奔放に生きているであろうまさきさんにとって、当時にかけられたこの言葉は何よりも求めていたものではないだろうか。
そして、この新たな再スタートをきることになったFUYUTSUKI -PARTY-で今年、とんでもない記録が生まれようとは、この時はお店も本人もまだ誰も知らない。

3つ目のターニングポイントはFUYUTSUKI -PARTY-での再出発。
本当に好きなようにやらせてもらって、これまでもストレスを感じることなく楽しんでやらせてもらっていますよ。
そして4つ目となるポイントは昨年の代表就任です。
実は今だから話せるけど、当時は本当に大変だったんですよ。
分店が決まり、俺が代表となって新しいFUYUTSUKI -PARTY-がスタートって時に、ちょっとした手違いで主力メンバーのほとんどがP2に行ってしまったんです。
残されたのは俺と経験の浅いメンバーのみ。
えっどうしよう?店売りも維持しなくていけないし、急にコイツらが売れるわけもないし…と悩んだ結果、「そうだ!俺が売ればいいんだ」と結論に至りました(笑)。
自分で言うのもなんですが、そこからの俺は凄かったですよ。
これまでやってこなかったワイワイ系の営業をしてみたり、今まで無意識に自分をセーブしていたものを全て解放しました(笑)。
これまでの集大成を惜しみなく披露した結果、売上は跳ね上がり、これはいける!と。
さらにそんな俺の行動を見て、全従業員が必死にやってくれた結果、お店の売上を落とす事なく進むことができました。

代表に就任し、まず行ったのは自らの改革。
自分がFUYUTSUKI -PARTY-を任され、先頭に立って出来ることは、誰よりも最前線に立って、誰よりも売上を上げること。
口で言うよりも行動に移して全員を鼓舞し、一人ひとりが危機感を持って、真剣に仕事に取り組んだ結果が、FUYUTSUKI -PARTY-を守ることに繋がり、さらに名声を上げることになったのだ。

FUYUTSUKI-PARTY- 降矢まさき

ホストとして教えられることは何もない

持論になってしまいますが、売れるホストのマニュアルなんてものは存在しないと思っています。
プレイヤーもお客さんもそれぞれ性格が異なりますし、同じお客さんであってもその日の気分によって求められるものが違います。
その時にお客さんの求めるものをいかに叶えられるかなんですよね。
だから俺は常日頃から「ホストとして教えられることがない」って言ってしまっています。
この仕事に携わっていれば、誰でもホストとしての基礎的なものは身につきます。
でもそれだけで売上が上がるような甘い世界ではありません。
では何をするか?それは自分自身で考えて答えを出すしかないのです。
例えば、僕がこうしてみたら?と言っても、必ずしも正解ではないですし、逆にもしかするとその行動で相手を怒らせてしまうかもしれません。
だからこそ、その相手がいま担当にして欲しい事を読み取って行動に移せるかは本人でないとわからないのです。
この仕事は今だに“女性を巧みに誘導してお金を出させる”とか“騙している”イメージがありますよね。
当事者の僕からしてみれば、いつの話をしてんだよと声を大にして言いたいですが(笑)、それが世間一般的なイメージなんでしょうね。
でも、こうして代表して改めて見ると、本気で取り組んでいるプレイヤーは本当に多くて、しっかりと仕事としてこなしています。
甘い認識で部活みたいな感覚の奴も中にはいましたが、大多数は仕事として芯をしっかり持って、毎日を全力で生きていますよ。
そうやって本気で取り組んでいるプレイヤーは、この仕事の本質に気づいているのでしょうね。

まさきさんが言う「教えることがない」というのは、この仕事の難しさを語っている。
要するに、対人である以上、その時々に出す答えは日々変化するもので、決まりきった返しは通用しないということ。
お客さんの性格、その時の気分…など、臨機応変に対応し、都度最適なものを返すことこそが、ホストに求められるものであり、それが売上に直結するものということ。
日本一にいま最も近いまさきさんでさえ、日々自分をアップデートさせながら毎日を過ごしているのだとか。
彼曰く、「降谷まさき」のコピーを作ることは出来るかもしれない。
けど、オリジナルの俺を超えることは永遠に無理だと。それは常に進化し続けるからこその答えなのだ。
そして気になる「ホストの本質」とは一体…?

偉そうなことは言えませんが、ホストという仕事は極めて特殊です。
一般的な会社であれば決められた月給をもらいながら、与えられた仕事をこなしていきますよね。
でもホスト業は最低賃金はあっても、それ以上もらえるかは自分次第です。
そして、何よりも「やらされてやる仕事」ではありません。なぜならば義務ではないから。
ホストを始めるのも辞めるのも自由ですし、売れるのも売れないのも責任は自分。
だからこそ、人に合わせる必要も一切ないんです。
ただし、他の人が出来ることが出来ないと当然通用しないから、そういった人はスキルを身につける勉強をするしかないんです。
少なくとも俺はそうやってきました。
時には大きな失敗もしましたし、怒られもしたけど、全ては経験値として蓄積して、次に同じ失敗しないように試行錯誤し繰り返した結果が今なんです。
俺が従業員に言っていることはただ1つだけ「最終的な目標を忘れるな」だけ。
おそらく多くのホストが入りたての時は「お金持ちになりたい」「No.1になりたい」とか目標を持っている思います。
でも月日が流れるといつの間にか目標が「とりあえず100万売りたい」「No.に入るようになりたい」と、通過点であるはずのことが最終目標になってしまっているんですよね。
通過点と目標が違うことは口を酸っぱくして言っているかもしれません。
最終目標に到達するまでに必要な道筋を常にイメージさせることが、俺の役目だと思っています。

常に理想のホスト像を想像し突き進んできた降谷まさきという男は、日本一の称号を得たとしても通過点に過ぎないと語る。
常に変化と進化を求めて、唯一無二の存在になりたいのが最終的な目標とのこと。
ハイブランドの会長がもしお店にいたら、客の自分はきっと「いつも買わせてもらっています」と、お金を払っているのに挨拶すると思うんです。
それと同じような存在になりたい(笑)と冗談に交じりに言うが、そう遠くない未来に実現しそうな気がするのはきっと私だけではないはず

FUYUTSUKI -PARTY-(フユツキ パーティー)

東京都新宿区歌舞伎町2-14-8メトロプラザ2ビル8F
03-6205-9855