夏の風物詩といえば怪談。
今夏もMYHOSでは、現役ホストから集めた選りすぐりの恐怖体験記を紹介していきます。
結局、1番恐いのは人間だよね…
「夢?現実?姉の机から出てきたある物」
egg 竜星
これは実際にあった話です。
僕が小さい頃の話なのですが、その頃は結構霊感があって、物心つく前は人間かお化けか見分けがつかない時もあるくらいでした。
でも姿が見えるっていうだけで何もしてこないし、向こうから話しかけても来ません。
僕にとってそれが日常だったので次第に怖さも薄れていき、いつしか慣れてしまっていました。
そして、それは自室で眠っている時のことでした。
突然、お腹に響くような男性の低い声が聞こえてハッと目を覚ましました。
何を言っているのかは聞き取れませんが、ボソボソと低く地を這うような声が続いています。
夜なのでその声以外はしんと静まり返っており、この声量で聞き取れないはずはないのですが、どういうわけかどこの国の言葉なのか全くわからない、そんな声がずっと響いてきました。
布団を被ってみたり耳を塞いだりしましたが、声は消えません。
ふと隣を見たら姉が机に向かって勉強していることに気づき、助けを求めようと声をかけようとしましたが、なぜか声が出せず、姉の後ろ姿を見つめることしかできませんでした。
どうか気づいてほしい一心で祈っていると、姉の頭が大きくガクンガクンと前後に揺れ始めたのです。
それと同時に男の低い声もだんだん大きくなり、お経のような唸り声のような不気味な声が部屋中に響くまでになりました。
机に向かう姉のピンクのパジャマ姿、いつも見ているはずの姉が揺れ続けています。
そして手には小学生の力では到底出来そうもない奇妙に折れ曲がった鉛筆を握りしめているのです。
僕は一連の出来事が理解できず、あまりに恐ろしくそのまま気を失ってしまいました。
朝起きたら姉は昨日のことを全く覚えておらず、怖い夢を見たのだと笑われました。
僕も夢だったのかなと思い始めていた数日後、姉の机の隙間に挟まっている何か発見したのです。
それを取り出してみると、あの夜に姉が握りしめて原型を留めていない鉛筆でした。
思い出すのも嫌で、こっそり捨てましたが、あの夜は一体何だったのか、今思い出しても嫌な体験でした。